Translate

2025/03/10

仔豚の花摘み|はじめてできた友達のこと

 



4歳まで祖母の手で育てられた、そう言ってもいいと思う。仕事を終えた母が私を迎えに来るまでの子どもの一日の時間祖母の家は市内から車で10分ほどいったところ。回りは田んぼで何処までも見渡せる山の頂へも、きっとここから近いんだろうと確認できるくらい、景色は広く遠かった。



田んぼの土手に咲くシロツメクサやお庭の小さなお花たち、近所の豚の飼育場の新ちゃんのところでヒヒヒと鳴く仔豚をわたしはたくさん、たくさんの時間じっと見ていた。

どこにでも根をはっていて、「あなたは、どこから来たの?」って聞きたいんだけど、やっぱりそんなのは無意味な質問だよね、なんて。とうに人間の限界的な質問を超えた世界で咲き出している小さな花は、いつでも花として堂々と地球で生きている。


ヒヒヒと泣く豚の皆さまには、「あの、わたくしはほんのにんげんの子どもであなたのお友達をいただいていまして」と、自己紹介して勝手に承認して勝手に知り合いになったり。




                      


5歳の時初めて保育園という子どもだらけの場所に行った。

入園最初の日、花と仔豚がお友達だった世界に初めて人間の子どもが、しかもむこうからお友達と名乗ってくれたとき、「はじめからそうだった、わたしたちはお互いをずっと前から知っていたって。」こころの中の不思議な感覚。



未来のある日に彼女が逝ってしまうことを5歳のわたしは知らないけれど、人見知りだったわたしをずっと守ってくれていた彼女は、にんげんではなく天使だったと思う。



「だいじょうぶだよ、わたしがいるからね」って最初の初めての挨拶もないままそんなことを言うから、由佳ちゃんは本当は子どもではなくてやっぱり天使だったし、泣いていたわたしに、ここにいたのねって目でいうから、まじめに、わたしにいうから、やさしくて、おどろいて、もっとわたしは泣いた。