高校2年生のとき、同じクラスの男の子を好きになった。ふたり。
ふたりはそれぞれまったく別の魅力があって、どちらともずっと近くにいてほしかったから、見ていたかったから、しぐさとか話声とか、気持ちとか。
そして付き合うことにした。とっても大好きだったので。しょうがないこの気持ちと思いつつもその気持ちに、悠々と傲慢にもなれず、心は悪い気持ち自分が悪い気持ちでいっぱいになったある夜、わたしは二階の自分の部屋から見えた大きな満月の美しい光に訴えた。
「好きな人がふたりいるんです、どっちも選べません、どっちも好きなんです」
「ごめんなさい」
こうも思いました。「ふたりも、好きだって思える人と出会えて私は幸せです」
「ありがとうございます」
どちらか選ぶために月に誓って願おうと思ったけれど、そのときの気持ちを変えることはできませんでした。
最後はふたりとも離れていって。
「あんた、結局は自分の気持ちが好きだったんでしょ」って友達が言った。「だって自分の気持ちが一番じゃない、それなくしたらどうすんの、せっかくの自分の気持ち無視するの?もう二度とないのに?そのときの気持ち」とわたし。
「えっ、だって相手に悪いじゃないよー、傷つけていいの?」
「だって、自分のこと無視するほうがもっと傷つくもん」
「だから、あんたは自分のことだけ、なの!」って、怒って友達も離れていったけど。
「だって結婚じゃないんだから、だれにも誓ってないんだからいいんだよ」って誰もいなくなるまで訴えたわたし。
だって、好きになれる人に会うって特別な瞬間で、その自分が好きな人と両思いなのは、もっと特別なことだと思うから、わたしはやっぱりそれはいいことだとおもった。