哲学科に所属していた頃、中世哲学と宗教を学んでいた。2年前にイタリアという言葉が、心心にやってきて、これはイタリアに行かなくちゃと衝動で、約10日間フィレンツェを拠点にラヴェンナ、アッシジ、ナポリと足を運んだ。その頃はまだもう一度大学に戻って学びたいなんていう気持ちは明確にはなかった。
わたしはいつも何かを探求することが大好きで、大学が好きで、勉強が好き。2年後にアッシジの聖フランチェスコの生涯を扱う卒論を書くなんて、この流れ、つながっている神秘に驚く。
アッシジのタクシーの人が、自分がここに住んでいることの喜びと感謝、そして聖フランチェスコへの愛や信仰心がごく普通に日常の中にとけこんでいて、信仰心という言葉の硬くて重い感覚が、タクシーの彼の言葉の音とともに消えていくのを感じた。
クリスマス前の冬のイタリアは静か。
あたたかな色。
ピンク色の町の壁。